オトコラム

第9号 人が音を聞くメカニズム(6)
     ~ ウネっちゃったら、どうなるの? ~

蝸牛は、サザエのつぼ焼きのような形をしていて、中は三つの階(穴)に分かれています。
それぞれの階はリンパ液で、すきま無く満たされています。
音が入ってくると、蝸牛の渦巻きの一番外側にあって、3階建ての上の階につながっている窓から、中耳の「あぶみ骨」を通して中のリンパ液が揺らされます。
3階建ての真ん中の階と下の階を仕切る膜は「基底膜(きていまく)」と呼ばれています。
ここまでが前号までのお話でした。

さて、中のリンパ液が、伝わってきた音によって揺らされると何が起きるでしょうか?
リンパ液は、すきま無くびっしりと詰まっているんですよ。
想像できますか?
そうです!
蝸牛の中を仕切っている、うす~い膜である「基底膜」が、リンパ液の揺れに応じて変形(湾曲)するんです!

チューブ上になった蝸牛の、一番外側の窓から力を加えられて出来たリンパ液の揺れは、チューブの中を奥へ奥へと進みます。
それと一緒に基底膜の変形(湾曲)も、進行波となって奥へ奥へと進みます。
さらに面白いことに、基底膜は蝸牛の外側では狭くて硬いのですが、先に行くに従って少しずつ広く、そして、わずかではありますが柔らかくなっているのです。
この構造によって、入ってきた音の周波数に応じて基底膜の変形の度合いが変わるのです。

「周波数」憶えていますか?
第5回で詳しく解説していますので、もう一度読んでみてくださいね。
周波数とは、
「音によって起きる空気の揺れのスピードのことで、高い音の場合は周波数が高く、低い音の場合は周波数が低い」
っていうあれです。

さて、基底膜に話を戻しますと・・・
周波数が高い場合は、リンパ液の揺れも早く細かくなるわけです。
ですから、狭くて硬い基底膜の手前側(蝸牛の外側の方)で大きく湾曲し、それより奥はほとんど変形しないわけです。
逆に、周波数が低い場合は、リンパ液の揺れも遅くユックリになるわけですから、広くて柔らかい内側(蝸牛の奥の方)で大きく湾曲します。

ここはややこしいので、もう一度、言い方を変えて説明してみますね。

カタツムリのような、サザエのつぼ焼きのような形をした蝸牛。
その中は3つの階に分かれていて、中はリンパ液で満たされています。
3つの階を仕切っているのは、うす~い膜で、そのうちの真ん中の階と下の階を仕切っている膜は「基底膜」と呼ばれています。

音が耳に入ってくると、鼓膜から耳小骨に伝わって、耳小骨の一番最後の「あぶみ骨」が蝸牛の中のリンパ液を揺らします。
基底膜は、リンパ液の揺れに合わせてウネウネと変形します。
耳に入ってきた音の周波数が高い時は、手前側で大きくウネウネして~~~
低い時は奥側で思いっきりウネっちゃいます!

つまり、入ってきた音の周波数によって、ウネウネの“場所”が変わるんです。
このウネウネの“場所”が、人間が音を聞くメカニズムの主役なんです。

(2007.04.23)


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