オトコラム

第59号 コミュニケーションのマニュアル化!?

ファーストフード店やファミリーレストランなどの接客マニュアルを見たことがあるでしょうか?私は最近、チラ見する機会がありました。

基本的に、どこのマニュアルも、

「どのタイミングで、何をお客様に言うか」が事細かに書かれているんですね。

それがいけないと言うつもりは毛頭無いんです。接客マニュアルの充実が、日本の外食産業をはじめとする、多くの小売業の発展に貢献したことは間違いないんですから。

ただ、“マニュアル化”には大きな欠点があることも忘れてはいけません。

それは、

マニュアルに書かれていない事が起きた時にどうにもならなくなる

という欠点です。

これを、マニュアル人間の欠点、人間力の欠如として語る人がいますが、私は、それは違うと思っています。

誰でも、マニュアルが細分化されればされるほど、マニュアルに書かれていない事をするのは“罪悪”であると考えるものでしょう?だってマニュアルって、個々が勝手な振る舞いをして混乱を招かないようにするためのものなんですから。

マニュアル外の事が起きれば混乱するのは当たり前、誰だって混乱するんです。ですから、ちょっとマニュアルから外れたことがあっただけで、幼稚とも思えるような不祥事が起きてしまうんですね。

ところで、お客様が高齢者の場合のマニュアルって、あるんでしょうか?あっても、おそらく欠陥だらけのマニュアルでしょうねぇ。

若い人の何倍もの人生経験を積み、多くの知識を持ちつつ、最近のシステムや流行などに関する知識は、あまりお持ちでない。さらに、健康に問題があったり、コミュニケーションのための最大の武器である“聞こえ”が衰えていたり・・・。そしてそれは、おひとりおひとり症状や程度が違う。

おひとりおひとりとしっかりコミュニケーションを取らなければ、満足してもらうことは出来ないのですが・・・こういったお客様とのコミュニケーションをマニュアル化するのは至難の業ですね。

接客業に従事する方々、ひとりひとりが、高齢者の聞こえ、高齢者とのコミュニケーション法を学び、体得する必要がある。

そのわけは、

コミュニケーションのマニュアル化はできない

からなのです。

(2015.8.25)


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