特別企画 対談

vol.4 「ITと聴覚心理」

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****IT業界オノマトペ集**** 

古晒 IT業界って、他の業界よりもオノマトペを使いこなしてますね。

坂本 ムムム・・・そうですか? その話は面白そうですね。

古晒 例えば、これは、最近一般の方でも利用されてますが、「”サクサク”動く」って言いますよね。

坂本 なるほど! 確かに言いますね。

古晒 意味としては”サクサク”って、このソフトの処理が早い。または、快適に動いているってことですね。

坂本 はい。

古晒 お客様から、「もっと”サクサク”にしてよ」って言われるとどんな説明よりも、直感的に響きます。言われた方も、「もっと”サクサク”ですね?」って感じで、楽に理解しますね。

坂本 ”サクサク”ってパソコンが普及し出してからですかね?スムーズに動くって意味ですね。

古晒 他には、プログラムを一心不乱に作るときこれは、”ゴリゴリ”って言いますね。

坂本 はい! 「”ゴリゴリ”プログラム書いたよ」って言いますね!

古晒 これも、「一生懸命、頑張りました」って言うより、「”ゴリゴリ”やったよ」って言った方が伝わります。

坂本 ゴリゴリは、元々はプログラマー用語ですか?

古晒 一般では使ってないけど、ITの業界現場では、昔から効果的ですね。

坂本 「ITオノマトペ集」 面白いですね! 他にもありそうですね。

古晒 やっぱり、あとは、作る側だけでなくお客様にもオノマトペが理解されているところもありますね。

坂本 そうですね。「前より、”サクサク”動くシステム」ですって言われると解りやすいですね。「画面表示が毎秒幾つ上がりました」とかって説明されるより(笑)

古晒 数字で言われても解りませんから(笑)「処理速度が改善されました」より、「サクサク動くようになりました」って言われた方が、お客様も納得感ありますね。

坂本 “ブっ飛ぶ”ってのも、よく言いませんか?飛ぶは、動詞ですが、その前の“ブ”って表現。独特な・・・オノマトペ?ですね。

古晒 それも通じますね。あとは、CPUを”グリングリン”廻すって言い方もします。

坂本 言いますね(笑) グリングリン!

古晒 コンピューターが猛烈に働いている様子ですね。

坂本 CPU自体は、物理的に廻っているわけではないのに。飛行機のプロペラじゃないんだから(笑)

古晒 はい。電気信号ですから。

坂本 結構、プログラミングとかシステム開発している時はオノマトペですね。

古晒 部下への指示も、「それは、”サクッ”と終わらせてね」って言いますね。

坂本 指示もオノマトペですか(笑)言われた方は、”サクッ”って、ある意味プレッシャーとの戦いですね。期日指定が無いですから(笑)

坂本 あとは、メモリーが”ギューギュー”とか”パッツン パッツン”とか言いませんか?

古晒 それも、ありますね(笑)業界人は使ってますが、一般の方が使わないオノマトペってありますね。

坂本 オノマトペではないですが、ITの現場は会社が変わると言語(表現)が変わったりしませんか?

古晒 作ったシステムをデビューさせる日。リリース日と言った方がわかりやすいですかね。それは、会社によって違いますね。

坂本 ほう?

古晒 リリース日と言ったり。カットオーバーと言ったり。サービスインと言ったり。マルエスと言ったり。それぞれ、会社によって違いますね。

坂本 メーカーの出荷だと、リリースと言いますね。または、「いつ流れるの(市場に出る)?」とかって言いますか。

古晒 WEBシステムはサービスインが多く使われているみたいです。

坂本 そう考えると、ITの世界の用語って複雑ですね。プログラム言語も変わるし、OSも変わるし。

古晒 “クリック”は、最近では当たり前に言われてますが、マウスを使うようになってからですよね。

坂本 スマートフォンでは“タップ”ですね。ある意味、同じなのに。

古晒 お客様の中には“クリック”は、「マウスを押す」という表現にしてくれという人もいますね。

坂本 最近の若い子たちは、Amazonで物を購入することを”ポチる”って言うらしいですよ。

古晒 ”ポチる”ですか(笑)

坂本 キキトリックが発売された時に、オトデザイナーズののツイッターのフォロワーの人から「キキトリック、ポチリました」ってメッセージを頂いて、「????」ってなって、恥ずかしながら、その時に初めてその意味を知ったんですよ(笑)

****サウンドだけ流すのって意外と難しい**** 

坂本 YouTubeで、音と動画が合ってないケースがありますね。何でなんですかね、あれは?

古晒 基本的にどの動画ファイルも、画像の部分は仕組みを単純に考えれば、パラパラ漫画の応用ですね。変化のないところは圧縮して新しい画像のところを表示させて行くわけです。そのスピードというものがあって、それとは別に、音は音で再生されますので。音が追いつかないとか、その逆になって、画像と音がずれるという現象が起きることがありますね。

坂本 独立ですか?タイミングを取ってないんですか。

古晒 そこの部分は、ファイルフォーマットの規格でタイミングが取れるものと取れないものがあります。プログラムレベルで見ると、かなりシビアな処理のはずです。

坂本 ブログで、サウンドだけを流す方法がないんです。写真か動画だけですね。オトデザイナーズのブログでは、YouTubeで、適当な画像に音声つけて流す方式を取ってるんです。

古晒 インディーズのバンドやメジャーデビューしている人なんかも、同じ方法でプロモーションしてますね。

坂本 サウンドだけっていうツールは、意外に少ないですね・・・動画用で流そうとすると、何か画像を付けなくてはいけないので二の足踏んでしまいますね。ネットの世界は、視覚優先なんですね。

古晒 そうかもしれません。でも、IT業界では音を上手く使っている例がありまして。データセンターでも、障害が起きた時にはパトライトだけではなく、アラーム音で障害判別したりします。

坂本 なるほど。

古晒 それが何種類も準備されていて、音で何の障害かわかるようになってます。コールセンターは、着信音で聞き分けたりしますね。

坂本 (以前に勤めてた)会社も内線、外線って音違いました。音で変えるって原始的と思われますが、一番わかりやすいんですよね。ただ、原始的と思われて、率先して使われなくなりましたね。

古晒 ITの現場では大規模なシステムを複数で開発している時など、誰かメンバーが修正ファイルをアップロードすると受付の”チーン”って鳴るベルのようなもので、メンバーに知らせたりしますね。

坂本 ”チーン”ですか(笑)

古晒 メール連絡とか、「変更したよ」って声かけるよりメンバーは、”チーン”って聞こえると条件反射ですね。仕事の効率はいいです。

坂本 アプサさんだけではなく、他の会社でもそうですか?

古晒 同じように運用しているというのは、よく聞きます。

坂本 まだ、原始的と思われるようなことをやっているんですね。最先端のシステムを作っている現場でも。結局、実は、最先端のシステムより、五感、聴覚に訴えた方が効率も良いし、伝わるケースが、まだまだ多いってことですね。

古晒 はい。

坂本 今日は色々と興味深いお話しありがとうございました。今後とも宜しくお願い致します。


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