オトコラム

第12号 声のメカニズム(1)
     ~ 精巧な管楽器 ~

普段、何気なく喋っていて、そして聞いている“声”。
家族や恋人、友人との会話、学校の講義や仕事でのコミュニケーション。
人間生活は、“声”が無くては成り立たないですね。
声に乗って皆さんに伝えられる“言葉”は、人が生きていく上で最も重要な情報伝達手段であるだけでなく、人々の感情をも大きく左右するものです。

「親が子にかける愛情あふれる言葉」
「恋人同士の愛のささやき」
「たった一言がきっかけで、堅く結び付いた友情」

それはもはや、単なる“言葉”ではなく、その時の声の大きさや喋り方など、様々な声のバリエーションによる相乗効果で、相手の心の中に深く、強く響き渡るのです。

話している相手の表情やスキンシップの方が重要ですって?
はい、確かに、これらも重要です。
でも、電話という機械を考えてみてください。
電話は声だけしか送ることが出来ないのに、その人の心の情景をとても正確に伝えてくれませんか?
恋人との電話で、愛や恋を感じたことはありませんか?

ない?
う~ん・・・ガ、ガンバッテ・・・!

この、とても重要な“声”というもの、実は物凄く複雑で精巧な「管楽器」で作られているのです。
そう、人間は皆、いつも超精巧な管楽器を持ち歩いているのですよ。

管楽器とは?
トランペットやホルンなどの管楽器の構造を考えてみましょう。
息の吹き込み口の先は、管状になっていますね?
吹き込んだ息が管の中の壁に当たって、跳ね返って、音となって出てくるわけです。
音程を変えるときは、管に空いた穴を抑えて空気の吹き出し口を調整したり、バルブを押して管の中の形を変えたり、管をスライドさせて管の長さを変えたり・・・様々な方法で空気の通り道の形を変えているのです。

そうなんです!
もうすでに、音や聴覚のメカニズムをご存じのオト・コラム読者の皆さんなら、お分かりでしょう。
空気の通り道である管の形が変わると、出てくる音の周波数が変化するのです。

はい、人間がいつも持ち歩いている超精巧な管楽器の正体は、肺や気管の先、喉(のど)から唇までにある、喉(のど)、口の中(口腔と言います)、鼻の穴などから出来ている「声道(せいどう)」と呼ばれる空気の道のことなのです。

(2007.11.09)


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