オトコラム

第26号 オレオレ詐欺について考える

素朴な疑問ですが、オレオレ詐欺って、どうして引っ掛かるんでしょう?
オレオレ詐欺とは、別名「なりすまし詐欺」とも呼ばれる、皆さんご存知の電話を使った詐欺行為です。
地方の大学に通っていたり、東京に就職した息子さんから、実家のお母さんへ電話が!
「俺だよ俺、どうしてもお金が必要になっちゃって・・・振り込んでくれないかなぁ?」
息子思いのお母さんは、「息子の一大事だ!」ってな訳で、急いでお金を振り込んじゃいます!
ところが息子は、そんな電話をかけてない・・・ってな詐欺行為ですね。

この詐欺の手口って、一時期は日本中に広まったわけで、つまりは多くの方々が引っ掛かった訳です。
でも、ちょっと、おかしいですよねぇ?
だって、自分の息子ですよ。
いくら電話だからって、声聞いたら分かりそうなもんじゃないですか?
なんで、みんな引っ掛かるんでしょうか?

答えは簡単なんです。
我々が聞いている音って、様々な周波数の音が混じり合って出来てるって話をしましたよね?
そして、人間の声って、声帯や舌や顎などを使って、まるで管楽器のように様々な周波数の音を高速に変化させながら作ってるっていう、お話もしましたよね?
声のメカニズム(5)あなたは世界一の演奏家です!

一方で、電話って、通信の効率を良くするために、声の周波数をカットしてしまっているんです。
具体的な周波数で言うと、300Hz~3400Hzの周波数の音しか相手に届けないで、それ以外の周波数の音、特に高い周波数の音はカットしてしまっているのです。
言葉を聞き分けるために人間の聴覚が必要とする成分が、大体、この範囲の中にあるんです。
だから、この範囲の音さえ届ければ会話はしっかりできるでしょう、というのが、これの根拠です。

ところが~、さぁ大変です!
言葉の聞き分け、"あ"とか"い"とかを聞き分けて言葉を理解するには、この周波数で十分ですが・・・
人の声の特徴を表す成分って、実は、主にこれよりも高い周波数にあるんです!
高い周波数の音をカットしてしまうと、誰の声かを聞き分けるのは、とても難しくなるんです。
もちろん、ピッチの変化の度合い声のメカニズム(3)細切れで声を作ろう!や、言い回しや、口癖や、声の特徴を表すものは他にもたくさんあるのですが、しばらく会っていなかったり、
「ちょっと風邪気味で・・・」なんて言われたら、騙されるのも無理は無いのです。

だから、近しい人や大切な人からとは言え、電話がかかって来た時は、まずはお互いしか知らないような話題から会話を始めてみて、しっかりと相手を確認した方が良いのです。

今、恋人と電話で楽しく話しているあなた!
電話の向こうにいるのは、本当にあなたの恋人ですか?

(2010.10.08)


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